エメラルド仏の長い旅 パート1
ワットプラケーオに祀られているエメラルド仏は、タイ国民のアイデンティティーの一つでもあると言われていますが、タイで作られて最初からタイにあったわけではなく、様々な国を旅して来た長い歴史を持っています。エメラルド仏が作られたとされているのは、北インドのパタリブート(今のパトナ)で、BC43年に作られてから約300年の間この地で祀られていました。
その後、内乱による破壊を怖れた仏教徒がセイロン(現在のスリランカ)に運んだと言われています。セイロンに渡ってから約200年後の457年、ビルマのパガン王がセイロンに使節を送ってエメラルド仏を譲り受けることになったのですが、仏像を運んでいた船が嵐で転覆し、エメラルド仏はカンボジアの海岸に打ち上げられて、しばらくの間はカンボジアのセナラート王に管理されていたようです。
ところが、当時のカンボジア王朝とは異なる信仰を持っていた仏教徒によって国外に持ち出され、今のタイ・アユタヤを経てチェンライまで運ばれたのでした。チェンライでは、盗仏を避けるためにその姿を漆喰で覆い、ワット・プラケーオと名付けられた寺院の仏塔に祀られて、本来の姿を人目に見せることなく長い間その姿のままで過ごしました。