僧侶に関するマナー
タイには約3万の仏教寺院があって、約40万人の僧侶がいるといわれています。僧侶はサンガと呼ばれる仏教団体に属することが必要で、サンガが厳しく管理する227の戒律に基づいた生活を送っています。僧の位階に関係なく、全ての僧が同じ木綿の黄衣をまとい、還俗しない限り衣を脱ぐことはできません。またサンガは、その頂点にタイ国王が立つ国家的な大組織で、タイ国王はタイの仏教の最高の体現者でもあるのです。
タイ人にとっては、出家して一時的にでも修行僧になることは最大の功徳と言われており、息子が出家することはその家族にとって大きな徳を積んだことになるのです。そのため、男子は出家した後に初めて1人前として認められるという風潮もあることから、結婚前に親孝行の意味も含めて、1週間から1ヶ月程度の出家をする男性が多くいます。
タイでは、僧侶は俗を捨て去った聖なる人々とされており、敬意を持って接することが必要です。僧侶は、女性に触れることも触れられることも禁止されていて、僧衣がちょっと触れただけでも修行を一からやり直さなければならないほどですから、市内を走るバスの中には僧侶専用の席が設けられていて混雑時にも接触することのないように配慮されているほどです。ですから、女性のほうから無暗に話しかけたりするようなことの無いように注意しましょう。
タイ人の95%が上座部仏教の熱心な信者であることから、タイのモラルやマナーには仏教の教えが強い影響を与えています。そのため、私たちが何でもないことと思っているようなことでも、タイ人にとっては大変なことになって思わぬトラブルを引き起こすこともあり、そうしたことには注意していきたいものです。