ワット・スタットと大ブランコ
民主記念塔からディンソー通りを真っ直ぐ南下した位置にあるワット・スタットは、ラーマ1世によって建立された王室寺院で、鳥居のようにも見える巨大な赤いブランコ台(サオ・チン・チャー)が象徴的な寺院です。境内に入ると、すぐ目の前に大きな礼拝堂が建っており、中にはラマ1世がスコータイ王朝時代に最も重要な寺院であったワット・マハタートから遥々筏に乗せて運ばせたという、幅6.25m、高さ8mの巨大なプラ・シーサーカーヤムニーという仏像が安置されています。
この仏像をスコータイから無事に運び終えたのはいいが、そのあまりの大きさで門を通って境内に運び入れることができず、仕舞いには門を壊して運び入れ、ラーマ1世は仏像が礼拝堂に無事に納まったのを見届けた上で力尽きて崩御した、という話が伝わっています。その仏像の台座には、1946年に亡くなったラーマ8世の遺骨が納められており、境内の東北角にはラマ8世の等身大の銅像も建てられています。
また、このお寺のもうひとつのシンボルとも言える巨大なブランコは、サオ・チン・チャーと呼ばれるチークでできた大ブランコの基台で、高さは21m、ヒンドゥ教のシバ神に捧げるために、寺院よりも先に建てられていました。
毎年旧暦の2月にシバ神への奉納として、4人のバラモン(僧侶)が乗った大ブランコを、基台の高さと平行になるまで揺らす行事が行われていたのですが、僧侶が墜落して大怪我をしたり亡くなったりする事故が後を絶たず、当時のラーマ7世が1930年代半ばに禁止して以降、現在に至るまでその行事は行われていません。