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最新記事【5000年03月08日】

かつて短い期間ではありましたがタクシン王によるトンブリー王朝のあったこのエリアは、チャオプラヤー川西岸一帯に大きく広がり、ローカル色の色濃く残る都心とはまた違った風情を持つエリアです。以前はバンコク都ではなく、トンブリ県として独立した行政を持ったエリアでしたが、バンコクの急成長に伴って1975年にバンコク都に編入されました。

チャオプラヤ川
このチャオプラヤー川西岸域一帯は、雨季には水没して広大な水域と化してしまうデルタの中央部でしたが、トンブリーエリアだけは周りよりも少し高くなった地域で、アユタヤー王朝時代に盛んに運河掘削が行われ、周りの湿った土地とは違い乾燥した運河交通の発達した土地になったのです。 今でも当時の名残を色濃く残し、道路よりも運河の方が発達していて、通勤や通学、買物などもすべて運河を使った水上交通に頼っている地域があります。

トンブリーエリアには2箇所の賑やかな繁華街があり、ひとつはウォン・ウィエン・ヤイと呼ばれるロータリーと国鉄のウォン・ウィエン・ヤイ駅を中心とした地区で、もうひとつはウォン・ウィエン・ヤイから北方向、チャオプラヤー川を挟んで王宮から程近い位置にあるプラ・ピンクラオ通り一帯です。

プラ・ピンクラオ通りの少し南には、バンコク・ノーイ(トンブリー)駅があり、チャオプラヤーエキスプレスボートのロットファイ船着場にも近いその周辺は、バンコクらしくない長閑な雰囲気が漂っています。

ウォン・ウィエン・ヤイは、チャイナタウンやBTSサパーンタクシン駅辺りから、チャオプラヤー川を挟んだ対岸を少し内側に入った辺りに位置し、バンコクの都心部からは、タクシーや路線バス、BTSシャトルバスでのアクセスとなります。(2009年5月からBTSでもアクセスできるようになりました。)地名にもなっているウォン・ウェイン・ヤイと呼ばれるタクシン王の騎馬像を中心に配したロータリーの周りには、ロビンソンデパートを始め衣料や雑貨を扱う商店が集中しており、平日の夕方からや土日の日中には多くの人出で賑わうスポットです。

ロータリーからほど近くにあるウォン・ウィエン・ヤイ駅周辺は、まだまだ庶民的な古い下町の雰囲気が残っています。駅近くのグンウィチット市場では、生鮮食料品に混じって大きなホウロウ製の洗面器に盛ったお惣菜を売るお店があったり、プアンマラーイと呼ばれるジャスミンの花で作ったお供え用の花輪を売る少女がうろうろしていたり、そんな気取らない下町の混沌とした生活が覗ける一帯です。歩道のあちこちに点在している屋台もバンコク都心部より幾分か安く、物価の安い地区でもあります。

肝心のウォン・ウィエン・ヤイ駅も、駅前にある衣料品の露店の後ろに隠れてしまっていて、初めてだとその裏に駅があるとはとても気づきません。一本しかない駅のホームには、衣料品店やパン屋さん、お惣菜屋さん、麺食堂に一杯飲み屋など、様々なお店が連なっていて、このメークロン線沿線部に暮らす人々にはとても重宝されているようです。この小さな単線の始発駅から、タイ国鉄のローカル線に乗って、タイ湾近くの港町マハチャイまでの長閑なショートトリップを楽しむのもいいものです。

プラピンクラオ通りは、王宮方面からチャオプラヤー川にかかるプラ・ピンクラオ橋を渡った辺りから、南バスターミナル周辺までの間が賑やかな繁華街となっており、通りにはいくつかのデパートやショッピングモールが点在し、その間にはレストランやブティック、などが密集しているトンブリー地区随一の大繁華街です。

橋を渡ってから高速道路とも交差している最初の大きな交差点のあるところまでは、道の両側にはタイマッサージの老舗が数多く並びます。マッサージ料金は1時間当たり90バーツ前後で都心と比較するとかなり安く、この辺りに暮らす中華系のおじさん達の憩いの場となっているようです。

大きな交差点を過ぎると通りは俄かに活況を帯びてきて、右手には上階にミニ動物園のあるパタデパートがあり、周りには映画館やレストランをはじめ様々なお店が密集していて、夕方になると通勤通学客や買い物客で喧騒とした活気を帯びてくる地域です。

そこから1キロほど進んだ辺りには、大型のショッピングモールやセントラルデパートなどの大型店舗が林立し、この地域の若者達の情報やファッションの先端的な発信基地にもなっているようです。さらに少し進むとタイ南部地域への長距離バスが発着する南バスターミナルに達します。ここは、ナコンパトムやサムットサコンなどの近県や王様の静養地であるホアヒン、さらにタイ南部への基点となるバスターミナルです。

また、ピンクラオ橋の袂から少し南下したところに位置するバンコク・ノーイ(トンブリー)駅からは、ナコンパトムやカンチャナブリーの近郊に向う列車が発着しています。かつては、バンコクからタイの西部や南部に向う列車のすべてが発着する活気のある駅だったのですが、ラマ6世鉄橋が完成したことで、長距離を走る列車はすべてアクセスの便利なホアランポーン駅発着となってしまい、今はローカル列車が時折発着するのみの少し鄙びた駅になっています。

この駅の少し先にある機関区には、かつて戦時中に遥々日本から持ち込んだ機関車が保存されており、SLのイベント列車が走るときにはこの老機関車も張り切って活躍しており、私も時々そのイベントで機関車の旅を楽しんでいます。

タイ・バンコク旅行情報ガイド

タイ王国の首都であるバンコクは、東南アジア随一の近代的な大都市です。少し前までは、排気ガスが舞う交通渋滞地獄とアジアの混沌としたカオスの漂う、そして南国らしい長閑なところもある都市でした。今では、高層ビル群が林立し、高架電車や地下鉄が走るアジアを代表する国際都市としての姿を持ってきましたが、それでも伝統的なタイ文化を象徴するものが日常の暮らしに溶け込んでいて、訪れる人を虜にする、そんな不思議な魅力を持った街です。